#2 大友進さん


地域貢献につながる地元の農産物や加工品を使った商品づくりを 。


従業員は22名。その中にはこの小学校の卒業生も働いている。左から中尾美晴さん、大友さん、上垣伊代さん、橋本剛世さん。「自分が毎日通った小学校を残してくれて嬉しいです」

従業員は22名。その中にはこの小学校の卒業生も働いている。左から中尾美晴さん、大友さん、上垣伊代さん、橋本剛世さん。「自分が毎日通った小学校を残してくれて嬉しいです」

 

廃校を利用した酢づくり。一変した体育館の風景。

「いったん日本酒をつくって、それを酢にする。考えてみればもったいない話ですよね(笑)」。工場を案内しながら、工場長の大友進さんがつぶやいた。

ここ但馬醸造の工場は、廃校となった旧西谷小学校を工場として活用している。体育館の床をぶち抜いてコンクリートを敷き、舞台裏を床壁共に温度、湿度管理に適した杉板を貼って醗酵蔵に改装した。基本となる醸造酢は、長期間の熟成を要する、昔ながらの静置醗酵法でつくられている。蔵では発酵槽に種酢と水、酢もろみを入れて、表面に酢酸菌膜を浮かべる。数日後には酢酸菌膜が発酵槽の表面をびっしりと覆い、発酵が始まる。この酢酸菌がゆっくりと時間をかけてアルコール分を酢にかえていくのだ。でき上がった酢を口にすると、酸っぱいだけでなくコクと旨みが感じられた。

工程を細かに説明してくれる大友さん、実はこの仕事に就くまでは営業一筋。25年前に数年、醸造を学んだ経験を買われて工場長に。現在は醸造所の近くに単身赴任し、酢づくりに全力を注いでいる。「これまでの経験が反面教師として活かされています。大手のスーパーを相手にシビアな価格交渉をしてきたけれど、うちでは一切値切らせない。ものづくりでもコストのために犠牲にせざるえなかったことを、すべて叶えたい」。そうやって理想を追い求め、たどりついたのが、妥協を許さないこの醸造所というというわけだ。

 

舞台裏のつくられた醗酵蔵で徹底した温度管理のもと、時間をかけて丁寧に醗酵させられた酢は、さらに元体育館の中に並べられた「貯蔵タンク」内で長期間熟成され、よりまろやかで芳醇な酢へと仕上げられる。

舞台裏のつくられた醗酵蔵で徹底した温度管理のもと、時間をかけて丁寧に醗酵させられた酢は、さらに元体育館の中に並べられた「貯蔵タンク」内で長期間熟成され、よりまろやかで芳醇な酢へと仕上げられる。

風土と深く関わるものだから積極的に地域と交流。

工場長を任されるにあたって、社長から言われたのは「地元に貢献できる会社になりなさい」ということ。

「地元の大徳醤油さんの醤油を使ったり、ポン酢用の柚子を地元の農家から仕入れたり。この地で獲れるもの、または加工できるものを使った商品をつくっていきたい。それが地元貢献につながると思うから」。

〝良い酢づくりは良いもろみづくりから、良いもろみづくりは良い米づくりから〟というが、3年前から地元農家に協力を得て、自社水田で「ふくひびき」という米もつくり始めた。田植えや稲刈りには社員も参加する。さらに直接ユーザーの声が聞けるように、積極的に地元での試食会やレストランのバイキングメニューに製品を使ったレシピを提供している。また地元の主婦を招いた料理教室の実施や、地域交流会として地元高校生による書道披露やフルート・ピアノの演奏会など、地域との関わりを大切にしている。5年前の創業時には2種類だった商品も種類が増えた。JALセレクションに選ばれたり、九州の大手スーパー専用の商品も手がけるなど販路も拡大。驚くことにアメリカやオーストラリアにも輸出しているという。

「但馬から世界へって夢があっていいでしょ(笑)」。

(2013年2月発行 YABUiRO Vol.1掲載)

 


people02_info 日の出通商株式会社 食品カンパニー 但馬醸造所
廃校となった小学校を利用して、昔ながらの風味豊かな醸造酢を製造。
積極的に地域の人々との交流をおこない、創業わずか5年で、地域にしっかりと根差した存在に。
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兵庫県養父市大屋町筏288-1
TEL 079-669-1100
http://www.tajimajozo.co.jp/
 
 

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