#10 中尾登美夫さん


ふるさと大屋を 誇れるところにしたいから 天滝を守り続ける 


 

タカキビはイネ科の一年草で、一般的なキビと違い、実は大きく小豆色をしている。ポリフェノール、食物繊維、ビタミンなどが豊富な健康食品。

タカキビはイネ科の一年草で、一般的なキビと違い、実は大きく小豆色をしている。ポリフェノール、食物繊維、ビタミンなどが豊富な健康食品。

大屋川支流で奏でる、 八つの滝のハーモニー

兵庫県北部の円山川の支流で大屋川のそのまた支流にあり、大小8つの滝が奏でる渓谷に県下一の名瀑がある。「日本の滝100選」「森林浴の森・日本100選」などに選定され、日本を代表する滝となった天滝だ。氷ノ山後山那岐山国定公園の最東に位置し、滝より上には玄武岩で出来た俵石や杉ケ沢高原がある。「落差98メートル、まさに天から降ってくるかのように、水が流れ落ちる姿は圧巻です。春の新緑、秋の紅葉を背に落ちる滝、厳寒に凍る滝、四季折々楽しい姿を見せます」。そう解説してくれるのは「天滝を生かす会」の中尾登美夫さんだ。 地元の人だけが知っている名所、そんな存在だった天滝を一躍有名にしたのが、NHK連続テレビ小説『ふたりっこ』のタイトルバッグ。クレジットに天滝の名前が出たわけでもない。それでもわずか数秒、映し出された滝の荘厳さ、力強い美しさに惹かれ、この地を訪れる人が後を立たなかったという。

 

遠くにいても思いを馳せる 大屋の人にとっての誇り

中尾さんは同会6代目の会長。遊歩道の整備、トイレの清掃、ゴミ掃除など、地道な活動で天滝を守ってきた。数年前にはその活動が評価され、環境省から表彰も受けた。「天滝が好きなもんですから(笑)。私の子どもの頃は、小・中学校まで遠足といえば天滝だったし、養父で育った人なら、一度は遠足で訪れたことがある場所です。私も友だちとよく登って遊んでました。ここが有名になれば、地元を離れた人にとっても懐かしいし、誇れるものがあることで、ふるさとに思いを馳せることができるでしょう」。  観光ツアーのガイドもしている。「すべてボランティアでまかなっているので、案内ぐらいの感覚でやっています」。観光客に少しでも楽しんでもらおうと、カードをつくって渓谷の草花を覚えたり、勉強会を開いたりも。他にもパンフレットやハイキングルートなどの資料作成や安全登山の啓蒙活動も。「来年からはヘルメットも用意しようと考えているんです」。秋の紅葉シーズンには多くの観光客が訪れ、毎年11月には『もみじ祭り』が開催されるが、これも同会が企画運営している。

 

普通のうどんに比べると弾力があり、歯切れの良い独特の食感が特長。カツオと昆布で取ったあっさりした出汁との相性も抜群だ。具には甘めに味付けした、ぽってりとしたお揚げが。

普通のうどんに比べると弾力があり、歯切れの良い独特の食感が特長。カツオと昆布で取ったあっさりした出汁との相性も抜群だ。具には甘めに味付けした、ぽってりとしたお揚げが。

ここでしか食べられない 名物「きびうどん」

同会では登山道の環境整備などをおこなうとともに、天滝の登り口で「レストハウス天滝」を経営している。店の名物は、タカキビ粉と小麦粉をブレンドして打った「きびうどん」だ。「割合が難しく入れ過ぎるとつなぎが切れてしまうので、ギリギリの割合でつくります」と中尾厚子さん。タカキビは収穫後、竿に掛けて乾燥。茶色に色づいたら脱穀し、製米機を使って荒皮を剥く。これを袋に入れ1週間ほど水に浸けてアクを抜き、再び乾燥。手間ひまかかった逸品なのだが、メンバーの高齢化で、栽培できるのは今では中尾さん一人になってしまった。ボランティアで運営している同会にとって高齢化は深刻だ。「今後は後継者の育成が課題です。自分たちが出来なくなっても、この美しい天滝を訪れる人は決して途絶えることはありませんから」。

(2014年12月発行 YABUiRO Vol.5掲載)

 

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レストハウス天滝
天滝の登山口にある食事処。「天滝を生かす会」の女性会員が、おふくろの味をモットーに、地元の食材で田舎料理を提供。87年に、ここより上にあるログハウスの休憩所でお店を始め、99年に現在の場所にオープン。ハイキングコースを歩いた後など、ほっと一息つくのに最適。営業 3月末〜11月末
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兵庫県養父市大屋町筏930 TEL 079-669-1849

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