#5 いま僕たちにできること。 <後編>

 

時代とともに遊び方も変わる。リピートへつなげる工夫を。

 

——今は経営にも関わられていると思うのですが、昔とくらべてどう変わりましたか?

 

西谷 今はずいぶん、ネット予約されるお客さんが増えましたね。
岡 (清) 今でこそ携帯電話からの予約はあたりまえですけど、親の世代はネット予約という状況に対して悲観的で、対応が遅れた。昔話としてよく聞くのが、景気のいい時は毎週、会社の労働組合のバスが乗り付けて、常連のお客さんも大勢いたとか。
岡 (一) 東鉢は、全国でもスノーボードの受け入れが早く、スキーとボードが共存できる稀なゲレンデとして人気があり、常に駐車場が満車の状態でスキー場が始まった頃のように、人が溢れていました。
岡 (清) 昔は一日券で朝から晩まで滑って帰るようなお客さんばかりで、ぼくらが寝る頃には、もう次のお客さんがきてるという具合。麓で店をしていても、2時間おきぐらいにピークがやってきましたからね。
上野 道が整備されたおかげで、今は大阪方面から2時間あれば来ることができるので、遊び方もずいぶん変わってきたと思います。半日だけ滑って、残りの半日は別の楽しみのために移動するという感じ。スキーのレンタルや駐車場のサイクルも、半日でまわっていることが多いですし。
岡 (清) ネット予約では、客層が団体からファミリーへシフトしています。4人家族で泊りというのは、大イベントですよね。それで満足して帰ってもらえなかったら、次はないと思わないと。だから来てもらったお客さんに精一杯のサービスをして、リピーターになっていただくように工夫しています。
西谷 時代とともに遊び方が変わり、宿を利用する客層も変化しているので、それに対応する方法を見出さないといけない。
ハイパーボウル東鉢スキー場 氷ノ山連峰が一望の美しいウインターステージ、緩急さまざまなコースを展開し、山頂は超ワイドなオープンバーン。隣接するスカイバレイと相互乗り入れし、ファミリーもたっぷり遊べる空間となった。 _ 養父市別宮284 tel 079-667-8201 http://www.tohachi.jp/

ハイパーボウル東鉢スキー場
氷ノ山連峰が一望の美しいウインターステージ、緩急さまざまなコースを展開し、山頂は超ワイドなオープンバーン。隣接するスカイバレイと相互乗り入れし、ファミリーもたっぷり遊べる空間となった。
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養父市別宮284 tel 079-667-8201
http://www.tohachi.jp/

上野 ネットはちょっと空き部屋が出た時に、スムーズに予約してもらえる良さもあります。部屋の使い方も変わってきましたね。以前は一部屋7〜8人で泊まってもらっていたものが、家族連れなら4人一部屋とか。昔は冬場のピーク時には2人組とかのお客さんは断っていたんですけど、今は当日空いていたら一人でも泊まっていただいています。
岡 (清) 自分も親になって分かるんですが、子どもがまた行きたいというと、親は動かざるを得ない(笑)。部屋の利用人数が減ったぶん、一組ごとのお客さんへの気配りやサービスは向上していると思います。 
岡 (正) 自分は帰ってきたばかりなので、今はパンフレットやホームページを制作して、これから発信という感じです。サービスという点でいうと、うちは手づくりの料理にこだわっていて。西谷さんのところはどぶろくが名物、岡(清)さんのところはコンビニがあってと、それぞれに個性がある。自分は料理の世界でやってきたので、美味しい料理を打ち出して、特色を出していこうと思っています。

 

棚田の美しい風景を 守るためにできること。

 

——東鉢を盛り上げていくために、一緒になって、何かやろうという話はあるのですか。

 

岡 (一) 観光地として、昔は地区自身でいろんな取り組みをしていたんです。東鉢伏高原体験村では、スキー場の斜面を利用してラベンダーガーデンをつくったりしてたのですが、そういう人たちが高齢化して。何をするにしてもマンパワーが足りなくなってきました。
鉢伏山の中腹に広がる棚田。標高700mに位置し、氷ノ山を正面に望む景勝地に今も残る日本の原風景。大カツラから湧き出る清水で満面の水を湛え、田植えの頃には頂に雪を残す氷ノ山が映しだされる。 _ 兵庫県養父市別宮 tel. 079-667-8705 (やぶ市観光協会 東鉢伏支部) http://www.yabu-kankou.jp/ (やぶ市観光協会HP)

別宮の棚田
鉢伏山の中腹に広がる棚田。標高700mに位置し、氷ノ山を正面に望む景勝地に今も残る日本の原風景。大カツラから湧き出る清水で満面の水を湛え、田植えの頃には頂に雪を残す氷ノ山が映しだされる。
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兵庫県養父市別宮
tel. 079-667-8705 (やぶ市観光協会 東鉢伏支部)
http://www.yabu-kankou.jp/ (やぶ市観光協会)

西谷 たとえば棚田は1人で田んぼを何枚も所有しているので、1人が耕すのをやめると景色も変わってしまいます。きれいな棚田を保全するには多くの方の協力が必要です。
岡 (一) 「あの棚田の景色をいつまで見続けられるか」という危機感はあります。棚田がクローズアップされたのは、水を張った田んぼに映る「逆さ氷ノ山」の写真が、話題になってからです。今は補助金をもらいながら、別宮地区として、氷ノ山の水でつくった「棚田米」のブランド化に取り組んでいます。
西谷 人口も減っていて、若い人は出て行き、年配の人しかいないところが多い。
岡 (清) よそから移住してもらえるような町にならなければ。住む人が増えれば、マンパワーにもなるし、地元に住んでいる自分たちとは違う見方も生まれてくる。それが、東鉢の突破口になるかもしれない。
岡 (一) ここには棚田や別宮の大カツラをはじめ、美しい星空や蛍のように養父を代表するような自然がある。それを活用して、できることがきっとあるはずです。
西谷 ずっと見ていた日常の自然の風景は、外から見ると得がたいもの。歴史もある場所なので、そのあたりも発信できれば面白いですね。

 

——お話を聞いて、そのはしばしから皆さんが子どもの頃から親しんだ素晴らしい自然を再発見し、大切にされているのがとても伝わりました。これからも皆さんで、東鉢を盛り上げていってください。 

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