#8 赤米づくり


都に献上されたという 郷土の誇りをいつまでも 伝えていきたい


 赤米は赤飯の起源とされ、「古代人が食べていた栄養豊富な米」として注目されている食材。さてこの赤米、実は養父と深い関係がある。奈良時代に小佐地区から赤米を奈良の都に献上していたことを示す木簡が、1963年の平城京発掘調査の現場で出土した。木簡には「但馬国養父群老左郷赤米五斗 村長語部広麻呂天平勝宝七歳五月」の文字。当地から赤米を平城宮へ上納した記録である。このニュースは、のどかな田園風景が広がる小佐地区に衝撃を与えた。

「地区内で奈良平城京への献上を再現してみたいという機運が高まり、有志が種籾を手に入れて赤米を栽培するようになりました」(小佐地区自治協議会・谷口義昭会長)。かくして地元の高齢者でさえも、存在を知らなかったほど廃れていた「赤米づくり」が復活。この取り組みは地域のイベントや児童の郷土学習、加工食品研究などに生かされ、八鹿小学校と自治協議会が協力して5月には「赤米田植え」、10月には「赤米稲刈り」が催されている。

それと並行する形で、40年間栽培を続けてきた人から田んぼを3年前に引き継いだのが、「杉の子さくら会」代表の森本佐智子さん。名草神社の修復を終える2020年に向けて、切り餅など赤米を使った商品開発を試みている。「小豆感覚でお餅やうどんに入れたり、地区のイベントの際には必ず赤米を使ったメニューを用意します」。 そんなPRのかいあって、最近では赤米を使ったグラノーラもつくられ、伝統ある地元素材として注目を浴びている。

いっぽうで谷口会長は小学校で、生徒に赤米の穂で草履づくりを教えながら、かつての里の暮らしも伝えていく。「田植えや稲刈り時には、近隣のお年寄りもやってきて、小学生に教える姿も見られます」。赤米を通じて、世代を超えた交流もおこなわれている。

「小佐の名物はやっぱり名草神社、そして赤米。地元の子どもたちが、誇りに思えるように、活動は続けていきたいですね」(森本佐智子さん) 。

(2016年7月発行 YABUiRO Vol.8掲載)

 

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小佐地区自治協議会
校区単位でのまちづくりを進める養父市の方針で設立された「小佐地区自治協議会」。旧小佐小学校区の住民をメンバーとし、理事会と4つの部会により構成。小佐を豊かで住みよい地域にしていく活動をおこなっている。
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養父市八鹿町小佐833 tel 079-662-7733
http://www.osajichikyo.com/

 

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