#17 谷孝之輔さん、塩見和亀さん


創業150年と、先を見据えた伝統の継承と新しい挑戦。


 

バイオマスボイラーを活用したハウスでは約1000株のいちごを栽培。毎朝、職人が、採れたてのいちごを使用してスイーツをつくる最高の環境が整えられた。

老舗菓子店が本気で 取り組むいちご栽培

伝統すなわち〝完成されたもの〟ではない。絶えまなくその価値を磨き上げ、進化する努力を怠らない姿勢、それこそが伝統を守ることになる。地元で愛されてきた老舗の谷常製菓でも、伝統の継承とともに新たな改革が進められていた。

昨夏から稼働させたハウスは、甘く爽やかな香りに包まれている。「納得できるいちごが安定して手に入らない」。それは長年の悩みだった。本来いちごは傷つきやすいため固いまま収穫し、完熟する前の状態で届けられる。「もっと果実味のある美味しいいちごを使用したい」。そんな想いから自分たちでの栽培をスタートさせた。

「2014年に養父市が国家戦略特区に指定されたのを機に、地域資源を活用したバイオマスボイラーによる、いちごのハウス栽培を始めました。これで旨味が濃縮されたいちごを安定して確保できます」。そう語るのはチーフプランナーの塩見和亀さん。 谷常は無添加の厳選した素材と熟練した職人の技で、本物のお菓子づくりを追求してきた。素材へのこだわりは有名だ。これまでのように厳選した契約農家から仕入れるという方法もあったが、その道は選ばなかった。「来年、当社は150年を迎えます。そこに向け、大きな一歩を踏み出すための革新的なことをしたかった」。自ら福岡に飛び、高品質いちごづくりの巨匠である農業技術管理指導士の宮崎安博さん指導のもと、土づくりから取り組んだ。最適な日照が得られる場所にハウスを設計し、減農薬、徹底した温度管理、宮崎先生秘伝の特製栄養ドリンク、ミツバチによる自然受粉と、考えうる限り最高の環境を整えた。念願の新ブランド、「完熟いちご菓子研究所」も設立した。

 

バイオマスボイラーの熱源をハウスや工場内で利用。これは石油ボイラーに比べ無臭でCO2の排出が少なく、環境にも優しい。食品の残物は肥料として再活用する、資源循環システムも確立。

150年目のあるべき姿へ

節目となる150周年に向けて、新しく挑戦していくもの、伝統を継承していくものを見極めて戦略が練られている。事業展開のための資金調達はクラウドファンディングを選んだ。「会社の取組みや挑戦を発信する、いい機会だと考えました」。

戦略部門を担当する塩見さんは、「歴史ある老舗を一緒に変えよう」と谷社長に誘われ4年前に入社。「職人たちが本当に細かいところまで想いを寄せてつくっているのは、切実に感じている。それを伝えていくのが自分の仕事です」。 長い歴史の中で培われた、こだわりの製法など伝統技術やその品質、そして何より多くの地域の方々に支えられてきたという信頼こそ、自分たちの財産だという。「会社は地域に貢献すべきもの。それに私の考えをつけ加えるなら、当社で働く人、お客さんからも思わず笑顔が溢れる会社を目指したい」。

150年は節目だが、ひとつの通過点でもある。「その先の200年を迎える頃には、自分たちはもういませんが、ぜひともより良い形で未来に繋げていきたい。そのためには、みんなが笑顔になる会社でないとね」。


 

株式会社谷常製菓

明治元年創業以来、無添加で高品質な素材にこだわり、
職人の手づくりの技で育んできた秀逸の味を守るかたわら、
常に新しい製法・新感覚の味覚を取り入れてきた、まさに「進化する老舗」。

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養父市八鹿町八鹿1500 TEL 079-662-2261
谷常製菓 http://www.tanitsune.jp/
完熟いちご菓子研究所 http://www.kanjyukuichigo.com/

 

 

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