#18 荒木奈見さん


美味しかった、また来るねと言われると幸せを感じるんです。


 

こちらで栽培されている品種は章姫(あきひめ)。大粒で甘く、「完熟、採れたて」がリピーターを生み、養父市からブランド認定もされている。いちご狩りは1時間の食べ放題で、量り売りなどで持ち帰ることも可能。

自分が農業をするなんて思ってもみなかった

朝6時に起きて子どもを送り出し、8時から夕方17時までハウスの仕事。午前中は受付と栽培作業、午後からは加工作業に。それが内山いちごの国、荒木奈見さんの毎日。毎年1月いちご狩りのシーズンが始まるとピーク時の土日には最高500人ものお客さんが訪れる。

丹波市出身の荒木奈見さんは、結婚を機に養父市に。当初は保育士をしており、「2人目の子どもを妊娠して産休中に、義理の父が村おこしでいちご園を始めることになり、義理の母とともに手伝いに駆り出されたんです」。これがすべての始まり。 同園は2003年、地域活性化のために地元住民たちが設立。メンバーは農業経験のない人ばかりで、荒木さんもこれまで農業とはまったく無縁の人生を送ってきた。ギャップに戸惑いつつも最初は受付として、気がつけば仕事の中心を任されるように。

26歳から始めて14年目。「流れのままに続けてきた感じです」と笑う荒木さんに、いちご栽培の極意を聞いてみた。「美味しいいちごになるためには、元気な株を育てることがいちばん。株さえ元気なら病気にもならないし、大きくて美味しいいちごができます。それとお陽さんの力。太陽の恵みがないと、受粉をしてくれるマルハナバチも飛びませんから」。

 

栽培はロックウール(石綿)を使用した水耕栽培。肥料は水に溶かして与える栽培方法(養液栽培)を採用。高設栽培という土に触れない方法で育てられているので、安心してもぎたてを食べることができる。

いつもお客さんの笑顔が背中を押してくれた

最近ではいちごを使ったスイーツも手づくりし好評を得ている。最初は近くのパン屋さんに苺大福を作ってもらって当園で販売していた。「一時期、販売をストップしたんですが、お客さんからのリクエストが多くて。今年の2月から自分たちでつくることにしたんです」。もともとお菓子づくりが好きな荒木さん、本格的な六次化に向け、今年園内に完成した加工場で、採れたてのいちごを使って大福とロールケーキを製造。みんな大きないちごが欲しいので、小さいいちごがどうしても余る。そういったロス対策にもなる。「もったいないと思ってしまうんですよね。ちょっと形が悪かったり、小さいだけで味は変わらないのに」。

いちご狩りの最盛期以外にもオフシーズンは苗の栽培に追われ、休む暇はない。「もう嫌だ、辞めるって思ったことは、数え切れないくらい(笑)」。それでも人と人との仕事なので「美味しかった、また来るね」と言われると、いつの間にかそんな苦労も忘れてしまう。「お客さんが喜んでくれるから、自分の仕事を増やしてしまう。損な性格ですね(笑)」。

いちごから始まる笑顔の連鎖。そして求められると応えずにいられない持ち前のサービス精神で、今後は喫茶スペースもオープン予定。いちご狩りをしていると喉が渇く。でも自販機だと味気ない。「かき氷やスムージーとかを用意して。あくまでもいちご狩りがメインで、プラスαとしての喫茶スペースです」とは言うものの、これもせっかく来てもらったんだから美味しいものを提供したいという心尽くし。「今、中学2年生の息子が跡を継ぎたいと言ってくれて。いろいろ手伝ってくれるんです」。そう語る時、嬉しそうな母としての顔をのぞかせた。

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内山いちごの国

のどかな景色が広がる山間の小さな村「内山」の有志たちが立ち上げた、いちご観光農園。
関西・近畿地方で一番早くいちご狩りを楽しめるスポットとして観光客のみならず地元の方にも愛されている。
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兵庫県養父市長野1297
TEL 079-666-0309
http://www.uchiyama-ichigonokuni.jp/

 

 

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