#11 建具師


直して、張り替え、 使い続けることで 建具も歴史を刻む


日本建築の間仕切りである「建具」には、長年使い続けるための工夫だけでなく、住空間を楽しむ、自由な遊び心にも溢れている。天然木の木目、色合い、香り、手触り、それぞれに表れる個性を職人が見極め、一つひとつ手仕事で建具をこしらえる。

「建具はふすまや障子を張り替え、部分的に壊れても修理をして、同じものをずっと使えるようにつくるもの」。そう語るのは福田建具店の2代目 福田通良さん。建具師の仕事は、いい納まりをつけて家づくりを締めくくる「最後の調整役」だとも。それには目の詰まり方やねじれ、反りの可能性など、数多くある木の特性に対する豊かな知識や経験も必須。建具づくりは木取りからはじまる。大きな板から建具の部材を切り出してゆく作業で、これが出来を左右する。木目が少し曲がって癖があるところは下桟にというように、適材適所の木取りをしていく。

驚くことに設計図は使わず、頭の中で計算してつくっていく。その後、削って厚さを決め、ホゾやホゾ穴の加工をして組み立てへ。木を切り込むサイズの微調整は、コンマ1ミリ単位の精密さが求められる。そんな技を磨くために自主的に技術検定を受け、ものづくりマイスターや兵庫の匠にも選出されたが、「自分の技術はまだ中学生レベル」と謙遜する。「建具も凄いものになると芸術品のレベルですから」。

今後はさらに技術を高めるとともに、建具を見せる場をつくりたいという。「生まれた時から洋風の家で育てば、本物の建具を見る機会もない。建具師も減って、〝たてぐ〟と読める人も少なくなっています」。だからこそ作品を見て、触って、ワークショップで体験もできる、そんな風に建具を発信できる場所があれば、興味を持ってもらえるかもしれない。

もう一つの課題は、今の生活様式にあう建具の提案だ。現在、長男がデザインの学校に通っており、いずれは仕事を手伝ってくれる。父の技と息子のデザイン、それが融合された作品が見られる日も近い。

(2017年12月発行 YABUiRO Vol.11掲載)

 

 


福田建具店

1958年設立。おもに金属・木製建具製造業を営む。
技能面において、立体設計から仕上げまでの工程は他社が追随できない技術を保有しており、高い評価を得ている。
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兵庫県養父市広谷390
tel 079-664-0812

 

 

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