#22 藤田 彰さん


休耕田を再生することで、温かく迎えてくれた地域に恩返ししたい。


20年近く放置された休耕地が蘇った!

山腹に張りつく100枚近くの水田が広がる、養父市の能座地区。わずか3年前までは、農地の6割が休耕地だったとは思えない。

この地を再生した建設資材会社の山陽Amnakの藤田彰さんは、三木市で経営多角化として米づくりをしてきた。そのうえで近年はさらに米づくりに適した、より良い環境を求めてもいた。ちょうどそんな時、タイミングよく養父市が国家戦略特区に指定されたことを契機に、地元農家とともに株式会社Amnakを設立。「養父市で酒米をつくり、日本酒に加工して海外に輸出する」プランを提出し、特定事業者に認定された。

藤田さん曰く「能座の魅力は、なんといっても昼と夜の温度差、そしてミネラルを含んだ豊潤で清らかな水です」。最初は平地で探していたが、「能座の美しい景色を見たときに、この山間地で米づくりをしようと考えが変わっていきました」。

 

Amnakライスセンター。自社栽培した酒米の乾燥と建屋地区を中心に養父市の稲作農家の乾燥調整をするため、養父市森林組合機械倉庫を借り受けて設置された。

美味しい米づくりの基本たる「土」を改良

参入にあたっての説明会では、「この地でよい酒米をつくりたい。そして20年以上放棄された土地を、3年のうちに再生します」と訴える。その覚悟を見せるために、農地を借りるだけでなく購入もした。また養父市森林組合から場所を借り受けて、生産から収穫、乾燥調整、籾摺りまでを一元管理するライスセンターをつくり、地元の人も使えるようにした。

その熱意は地元の人にも伝わった。1年目にして3ヘクタールの土地を貸してもらえたのだ。またこの事業が受け皿となって、移住者・定住者を増やし、地域に貢献したいと考えていたが、それも女性社員が自分から手を上げて、家族とともに移住してくれた。

肝心の酒米づくりは最初の2年は「地力」を活かし、肥料をやらずに酒米の五百万石を栽培。同社が借り受けた土地は徐々に増え、3年目となる今年は約8ヘクタール。これによって能座のすべての土地を再生できた。そして今年は土に有機物を入れて、土の中の生物を増やすことで肥沃な土壌に改良。実りの秋には思い通りの酒米には最良とされる芯白の大きな米が収穫できた。

 

丹精込めて育てた酒米でできた日本酒の記者発表の様子。此の友酒造株式会社の木村代表(右)とともに。

能座から世界へ。販路開拓で地域貢献も

酒米づくりに最適な環境を得て、次なるステップは初体験となる日本酒づくり。丹精込めて育てた酒米を、美味しい酒に仕上げるのは朝来市の此の友酒造株式会社。味はもちろんパッケージも、試行錯誤しながら理想を求め突き進んだ。

「私たちを能座の人たちは温かく歓迎し、協力もしてくれました。だからこの地に恩返しがしたい」。そんな想いから、収穫した酒米でつくる日本酒の名を「能座ほまれ」と名づけた。国内での売れ行きも好調で、今秋からは台湾の百貨店で販売されている。

参入時の約束をすべて果たした藤田社長に今後の展開を聞いてみた。「夢はうちの酒米だけでなく、養父でつくられた生産物を取りまとめて、大阪や神戸に出荷できるような組織をつくること。商工会と一緒になって、生産者の販路開拓に協力していきたいですね」。(2017年12月発行 YABUiRO Vol.11掲載)

 


 

株式会社Amnak

国家戦略特区の特例を活用し、能座区に設立された農業生産法人。
休耕田を再生し、酒米を栽培している。
朝来市の此の友酒造と連携して、養父市産の酒米で生産した日本酒を商品化して国内外で販売。
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兵庫県養父市能座62番地
TEL 079-666-0227
http://www.amnak.co.jp/
http://www.homare-sake.com/

 

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