#3 西谷弘之さん


米も水も地元のもので、“Made in YABU”の どぶろくにこだわる。


西谷弘之さんと息子の西谷秀和さん。「どぶろくづくりは留添えの温度管理がいちばん大変で、毎日温度を計ってグラフにし、味と香りを確かめるのですが、まだ満足したことは一度もないです。つくるたびに一年生です」

西谷弘之さんと息子の西谷秀和さん。「どぶろくづくりは留添えの温度管理がいちばん大変で、毎日温度を計ってグラフにし、味と香りを確かめるのですが、まだ満足したことは一度もないです。つくるたびに一年生です」


米や麹づくりから醸造まで、すべてを一貫生産で。

どぶろくとは、米麹や酵母を利用してつくる素朴な酒で、見た目は白く濁ったもの。氷ノ山の麓で民宿を営む西谷弘之さんは、養父らしさを詰め込んだ、どぶろくづくりを続けている。

そもそものはじまりは、バイオ関係の講演から。「県立の工業試験場の先生だから、ゴミ処理の話と思って出かけたら、どぶろくづくりの話でして(笑)。地域の特産品として、どぶろくを売り出していけると言われていたんです」。これなら自分でもできそうだと思った。実は西谷さん、30年ほど前、まだスキー場もない頃、民宿の閑散期にあたる10月〜4月の間、出稼ぎ杜氏として京都・伏見で日本酒づくりの修業をした経験があったのだ。「15年近く、杜氏以外はすべてやったので、一連の工程は体が覚えています」。

その後、07年には特区認定、翌年4月に養父市で第一号となる酒造免許を受け、氷ノ山どぶろく「鉢伏の泉」は誕生した。高地の澄んだ空気の中、西谷さん自ら酒米の栽培から麹づくり、醸造にいたるまで一貫しておこなう。

酒米五百万石を標高700mの圃場(作物を栽培する田畑)にて減農薬で栽培し、県指定天然記念物・別宮の大カツラの根元から湧き出る清新な天然水で仕込んだ「Made in 養父」のどぶろく。「普通の酒屋さんでは三段仕込みですが、僕は初添えと留添えの二段仕込みにしています」。仕込みが終われば、朝夕、攪拌して低温状態を保ちながら発酵管理をしていく。「夏はタンクを入れている桶に氷を入れ、冬は逆に電気毛布を巻いたりして、急激に温度が変化しないように調整します」。約23日間熟成して完成。できあがったら手作業で瓶に詰めていく。

 

カタシマ本店。「どぶロック」は本店だけでなく、カタシマの各店舗、翠山荘、ネットでも購入可能。

カタシマ本店。「どぶロック」は本店だけでなく、カタシマの各店舗、翠山荘、ネットでも購入可能。

少し敷居の高かったどぶろくが
子どもも食べられるジェラートに。 

さて、この「鉢伏の泉」がこの夏、デザートになった。手がけたのは養父のスイーツの名店であるカタシマ。フランス料理の技術、フランベによってアルコール分を飛ばし、なめらかな口どけと、すっきりした後味の中に、どぶろくの香りと味わいが残るジェラートに仕上げた。

「養父市地域産業連携支援事業としてお話をいただいたのですが、うちも新展開として地元に注目していた時期なので、タイミングも良かった。どぶろくは生きたお酒で、とてもデリケートなもの。一本ずつ微妙に味が違うものなので、レシピ化するのに苦労しました」。そう語るのはカタシマ株式会社 取締役 営業部長・本店店長の廣氏隆之さん。1%未満までアルコール分を飛ばすことで年齢やシーンに関係なく、どぶろくの味を楽しんでもらえるようになった。西谷さんも「うちの酒の味や香りがちゃんと残っている」と満足げだ。

今後の展開に話を向けると、「どぶろくの全国大会が来年は但馬で開催されるんです。そこの品評会に出して、全国にお披露目するつもりです。いつか養父の特産品として、みんなに愛される酒になって欲しいです」。 (2013年8月発行 YABUiRO Vol.2掲載)


people03_info翠山荘
東鉢伏高原の豊かな自然の中にあるロッジ。森林浴やハイキングなどアウトドアが楽しめる。目前に東鉢ゲレンデがあり、冬にはスキーやスノーボード客でにぎわう。宿泊客には食前酒として、氷ノ山どぶろく 鉢伏の泉も用意。

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兵庫県養父市別宮290-1

TEL 079-667-8420
http://www.fureai-net.tv/suizanso

 

 

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